墓地と墓所の違いとは?|墓埋法にもとづく定義、墓地や墓所の種類、選び方も解説
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お墓や埋葬にまつわる用語には、まぎらわしいものが多いです。墓地や墓所、霊園など、人によって使い方が異なる場合もあります。この記事は、墓地や墓所の選び方、管理方法などに悩む方に向けて、墓地や墓所の定義や違い、種類、墓地や墓所選びのポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。
お墓に関する用語の定義
墓地や埋葬、遺体処理、大切な人が亡くなった際の手続きなどについては、「墓地、埋葬に関する法律(墓地埋葬法)」で細かく定められています。以下では、墓地埋葬法による定義をもとに詳しく解説します。
墓地
墓地埋葬法の第二条によると、墓地とはお墓を建てるために都道府県知事から許可を得た区域のことをいいます。お墓が建てられているエリアだけでなく、駐車場や休憩所、事務所、通路など施設全体を含んでいます。
墓所
墓所は一般的に「ぼしょ」と呼びます。お墓を建てるために整備され、割り当てられた区画を指します。例えば、霊園の1区1号という区画を割り当てられた場合には、その区画を墓所と呼びます。「墓地」の意味で使う人もいますが、どちらでも間違いはありません。相手に伝わりやすい言葉を使用しましょう。
霊園
霊園には、法的な定義はありません。寺院に属することのない民営や公営のお墓のことを指します。寺院が運営している墓地は「霊園」とは呼びません。よくある特徴として、公園のように広く開放的な設計がされています。霊園は、宗教色が薄く誰でも気軽に使用できるものを指し、墓地と同義で使われることが多いです。
墓地と墓所の違いとは
墓地と墓所の定義の違いは、大きく分けて「場所の範囲」と「場所の管理者」の2つです。混同しがちではありますが、細かく見ていくと意味が異なります。以下で詳しく解説します。
場所の範囲
墓地埋葬法の定義によると、墓地は「墳墓(お墓)を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域」のことをいいます。墓所は、墓地や霊園の中でお墓を建てる区画のみを指すため、墓所は墓地や霊園の中に含まれます。その定められた区画内にお墓を建てることができます。
※引用:墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
場所の管理者
墓地の管理者は地方自治体や公益法人、宗教法人、寺院などの運営者です。一方、墓所の管理者は墓石の購入者や施主自身です。そのため、墓所内の掃除や改修は施主が行います。分かりやすく言えば、借りている土地に建物を建てているということです。ただし、墓所はあくまで所有ではなく使用となり、永代使用権を得ているということになります。
永代使用権とは
お墓の区画(=墓所)を、子孫代々にわたって使用できるという権利・契約のことです。お墓を購入する際には永代使用権を取得し、永代使用料を払うことで権利を持ち続けることができます。ただし、権利の転売や譲渡はできません。
定義のもととなる「墓地埋葬法」とは
「墓地埋葬法」とは、昭和23年に制定された法律です。
・お墓や埋葬に関する用語の定義や呼称
・埋葬の手続きや規則
・墓地や納骨堂、埋葬場の経営者の義務
・墓地の管理や運営の規定
以上が記載されています。略して「墓埋法」「埋葬法」とも呼ばれています。
制定の目的
墓地埋葬法が制定された目的は、
・火葬による伝染病の防止など公衆衛生上の観点
・犯罪の証拠隠滅の防止など社会秩序の観点
ただし、葬儀や供養についての決まりはなく、個人の宗教や考え方に委ねられています。
墓地埋葬法で定められているルール
墓地埋葬法では、墓地や埋葬、納骨に関わるルールなどが書かれています。以下で例を紹介します。
・火葬や埋葬は死後24時間を超えてから行う
・納骨は都道府県知事の許可を受けた墓地で行う
・違反した場合の罰則も定められている
地域によってルールがある場合もあるため、地域の条例も確認しておきましょう。
墓地の種類
墓地の種類には、公営墓地、民営墓地、寺院墓地、みなし墓地があります。以下で解説します。
公営墓地
公営墓地とは、自治体で管理・運営されている墓地のことで、非営利の色が強く公共性が高いことが特徴です。自治体が管理しているため将来性も担保されており、安心感があります。しかし、値段が安いため希望者も多く、抽選が行われるケースや、申し込みに関して制約があるケースがあります。
民営墓地
民営墓地とは、公益法人や宗教法人が運営・管理をしている墓地のことです。公営墓地に比べると申し込み条件も厳しくなく、墓石の形やデザインなどの自由度が高いことが特徴です。また、交通の便も良く、施設や設備が整っているところが多いです。しかし、民営であるため担当の石材店が定められており、費用が割高となっています。
寺院墓地
寺院墓地とは、寺院の境内または隣接する土地にある墓地のことです。近くに寺院があるため、管理面も安心のうえ、供養や法要の相談にものってもらえます。宗教や宗派の制約については確認が必要なので注意しましょう。また、設備があまり整っていなかったり、檀家になることが条件であったりする寺院もあります。
みなし墓地
みなし墓地とは、墓地埋葬法の制定前から許可され、運営されていた墓地のことです。墓地は基本的に、都道府県知事の許可を受けていなければなりません。みなし墓地は無許可墓地と混同されることがありますが、墓地台帳に記載されているものをいいます。墓地台帳に明記があれば許可をもらっていることになります。
墓所の種類
墓所の種類は一般墓所、ガーデニング墓所、芝生墓所、ゆとり墓所があります。以下で解説します。
一般墓所
一般墓所とは、区画ごとに外柵で区切られている墓所のことです。都市部は一般的に区画の面積は狭くなりますが、区画に広さがある場合は、墓誌や供養塔などを設置することもできます。従来型のベーシックなタイプの墓所も多いですが、和型や洋型など、墓石のデザインは自由に選ぶことができます。
ガーデニング墓所
ガーデニング墓所とは、区画の周囲に花や草木を植えた墓所のことで、公園墓地と呼ばれることもあります。庭園のような雰囲気があるのが特徴です。また、お墓にお参りするだけではなく解放感があり、草花に囲まれて過ごせるところが魅力です。
欧米の墓地で見られることの多いようなデザインの墓石もあります。基本的には、外柵は設置せず、石碑のみ設置する場合が多いです。
芝生墓所
芝生墓所とは、区画を芝生で覆っている墓所のことです。外柵は設置されておらず、墓石が低いものが並べられています。そのため、圧迫感がなく開放的で日当たりがよく、明るい雰囲気です。地下に納骨室がある西洋式や、地上に納骨室がある日本式のものなど、いくつもの形式があります。近年、利用者数が増えている墓所のスタイルです。
ゆとり墓所
ゆとり墓所とは、区画の間にスペースを設けた墓所のことです。隣接したお墓とは間隔があるため圧迫感が少なく、空間にゆとりがあることが特徴です。空いた場所には植栽や砂利を敷くなど、墓所を好みのデザインにできます。
空いた場所の分も墓地代に含まれるため、割高と感じる場合もあります。区画の中に入る墓石は小さくなるため、石材にかかる費用を抑えることができます。
墓地や墓所選びのポイント
墓地や墓所選びには、宗教・宗派の制約、お墓参りの際のアクセス、施設や設備の充実度、環境や景観の良さ、必要な費用などポイントがあります。以下で解説します。
宗教・宗派の制約
お墓の購入を検討する際、霊園や墓地の宗教や宗派を確認しておきましょう。公営墓地、民営墓地は一般的に宗教不問ですが、寺院墓地は宗教や宗派が限られている場合があります。具体的には、浄土真宗、天台宗、曹洞宗、天台宗などの在来仏教や、キリスト教、新興宗教、神道などが挙げられます。
お墓参りの際のアクセス
お墓は、一度建てたあとは基本的に場所の移動などは行いません。そのため、交通の便が悪いとお墓参りがしにくくなります。アクセスについては通う頻度も考えながら、慎重に選びましょう。月に一度通う予定なのであれば、一時間以内で通える範囲が良いでしょう。高齢者や、自身が高齢になった場合も考慮して、車だけではなく電車やバス利用の所要時間なども確認しておくようにしましょう。
施設や設備の充実度
トイレや水道設備の数、駐車場の広さ、休憩所の有無を確認しておきましょう。水道は複数個所に設置されていると水の持ち運びが楽です。法要や会食のための会場や施設があれば、多くの親族が集まる際も会場を移動せずに済むでしょう。施設がなければ、周囲に法要施設があるか確認しておきます。
花や線香を忘れてもその場で購入できると便利なため、事務所や売店が常設されているかも重要です。
環境や景観の良さ
日当たりや風通しの良さは重要です。季節によって変化する気候にも留意しておきましょう。落ち葉の数が多いと清掃の負担になったり、水はけが悪いと地下の納骨館に影響が出たりする場合があります。景色が良い場所、多くの木々に囲まれた落ち着いた自然豊かな場所は、心の癒しにもなります。心を落ち着かせ、故人と向き合える場所を選びましょう。
必要な費用
主な費用は大きく分けて、「墓石代」「永代使用料」「管理料」の3つです。墓石代や永代使用料には金額に幅があるため、しっかり確認しておくことが重要です。墓石代は、石の種類や使用量、彫刻内容、デザインなどによって異なります。一方、永代使用料は、区画のサイズ、墓地の立地、運営母体などにより異なります。管理料は墓地の環境の維持管理にかかる費用のことです。
まとめ
墓地と墓所は、場所の範囲や管理者が違い、墓所は墓地・霊園の中に建てられるものです。違いを踏まえて、それぞれ合った場所、種類でお墓が建てられれば、管理も行き届きやすいでしょう。
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