葬式での正しい数珠のマナー|宗派別の選び方・持ち方・注意点も解説
お葬式のマナー葬式に参列する際、忘れてはいけない持ち物の1つに数珠があります。葬式では故人を偲ぶ気持ちが一番大切とは言われますが、社会人としてマナー違反にならないように気をつけたいものです。
本記事では、数珠の種類と持ち方、さらに数珠以外の持ち物のマナーについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
数珠の意味
数珠は紀元後2世紀頃にインドで生まれ、現在では弔事に欠かせない仏具となっています。本来、念仏などの数を数えるための道具でした。
煩悩の数(百八)だけ珠のある数珠が一般的ですが、百八より少ないものもあります。数珠には、人間の煩悩を消し去り仏様のご利益を得られますように、という意味があります。宗派の違いなどにより、仕立(長さ・玉の大きさなど)や持ち方が異なる数珠が使用されます。
葬式で数珠がないのはマナー違反
数珠は、故人や仏様を思いやる気持ちの表れでもあるため、葬式で数珠がなかったり貸し借りをしたりするのはマナー違反です。社会人のマナーとして自分の数珠を持っておきましょう。
基本的な数珠の扱い方
数珠の扱い方は、移動するときと合掌するときで異なります。移動する際は、房を下に垂らし、左手で持ちます。お参りや故人の供養などで合掌するときは、数珠を左手にかけた上で両手を合わせるか、両手にかけて親指で優しく押さえましょう。
数珠に関する注意点
数珠に関する注意について、以下で3つ説明します。
数珠の貸し借りはしてはいけない
数珠の貸し借りは、マナー違反です。数珠にはお守りの役割もあり、仏様の功徳があると考えられています。大切な仏具でもあるので、他人と共有することは良くないこととされています。
数珠は葬式だけでなくお墓参りや法事の際も使用します。自分用の数珠を用意しておくことをおすすめします。
パワーストーンのものは使わない
最近流行しているパワーストーンのものは控えましょう。故人を偲ぶ場でパワーストーンの数珠はふさわしくありません。ファッションで身につけるにとどめ、弔事にはきちんとした数珠を持って行くことをおすすめします。
数珠をイスや畳の上に直接置かない
数珠を、イスや畳の上に直接置いてはいけません。一時的に自分の席を離れるときは、鞄やポケットに入れましょう。
数珠の選び方
数珠の選び方について、以下で詳しく解説します。
「略式数珠」と「本式数珠」がある
数珠には、本式数珠と略式数珠があります。本式数珠は、煩悩の数である108個の珠がそろっているもので、二重にして使います。
略式数珠は、その半分の54個やさらに少ない数の珠から成り、一重で使います。本式よりもさまざまなデザインのものがあります。略式が本式よりも失礼になるということはありません。
自分の宗派を確認する
数珠を選ぶ前に、自分の宗派を確認する必要があります。本式数珠は、故人ではなく、自分の宗派の数珠を準備しなければなりません。なお略式数珠は、どの宗派でも使えます。
「男性用」と「女性用」がある
数珠には、男性用と女性用があります。色や大きさなどで明確に区別されています。
男性用は珠が大粒で、女性用はやや小さくなっています。透明な色をした「水晶」は男女問わず使えます。房の中にさらに紐房がついているものや、珠が暗い色をした「黒檀」などは男性用です。
宗派ごとの数珠の種類と持ち方
宗派ごとの数珠の種類とそれぞれの持ち方について、以下で説明します。
真言宗
真言宗の数珠の種類
主玉108個と親玉、四天玉などでできています。長い輪の部分を二重にして使うので、振分数珠とも呼ばれます。
親玉とは数珠の中心にあり房が付いているもの、四天玉とは主玉と主玉の間に位置するもので、本式は4つ、略式は2つあります。
真言宗の数珠の持ち方
・移動時:親玉を上にして左手に二重でかけ、房を持ちます。
・合掌時:両手の中指にかけて手を合わせます。その後、数珠を手ですり音を立てて使います。
浄土宗
浄土宗の数珠の種類
2つの輪を交わらせた形で、両方の輪に親玉と主玉があります。片方の輪は、主玉と副玉が交互に並んでいます。
主玉はほとんどの場合、108個あり、数珠の中で最も多いです。副玉は主玉より小さく、主玉と交互に並ぶことが多くあります。
浄土宗の数珠の持ち方
・念仏を唱える時:副玉がない方の輪を左手の親指と人差し指の間に通し、もう一方の輪を左手の中指と人差し指の間に通します。
・合掌時:2つの輪を両手の親指にかけて房を自分側に垂らします。
浄土真宗
浄土真宗の数珠の種類
男性用は、一重で使用します。108個そろったものはなく、珠の数も22個程度と少ないです。女性用は主玉が108個で、二重にして使用します。
浄土真宗の数珠の持ち方
・移動時:房を下に向けます。
・合掌時:両手にかけて、房を手の奥に垂らします。
日蓮宗
日蓮宗の数珠の種類
主玉108個、親玉2個などでできています。片方の親玉から房が2本、もう片方の親玉から房が3本出ています。
日蓮宗の数珠の持ち方
・題目のとき:房が3本の方を左手の中指にかけ、輪を捻って房が2本の方を右手の中指にかけます。
・移動時:二重にして左手で握ります。
曹洞宗
曹洞宗の数珠の種類
主玉108個、親玉1個などからなり、銀輪という金属でできた輪が通っています。なお、曹洞宗では座禅を重んじるため、数珠に関する細かな決まりは存在しません。
曹洞宗の数珠の持ち方
・移動時:左手に二重でかけて握ります。
・合掌時:親玉が左手の人差し指の上に来るようにかけ、房を垂らします。
臨済宗
臨済宗の数珠の種類
主玉が108個、親玉が1個などでできています。男性用には紐房が、女性用には頭付房がついています。
臨済宗の数珠の持ち方
・移動時:左手に二重でかけます。
・合掌時:親玉が左手の人差し指の上に来るようにかけて、房を垂らします。
天台宗
天台宗の数珠の種類
主玉が108個、親玉が1個などでできています。主玉はそろばんの玉に似た平玉でできており、親玉から房が2本出ています。
天台宗の数珠の持ち方
・移動時:二重にし親玉が左手の人差し指の上にくるようにします。
・合掌時:人差し指と中指の間にかけて両手を合わせます。
葬式の持ち物・服装のマナー
数珠以外にも、確認しておきたい葬式の持ち物・服装のマナーについて以下で詳しく解説します。
香典
香典は、現金を包み通夜か告別式で渡します。不祝儀袋の表書きは、薄墨で水引より上に「御霊前」と書くのが一般的です。金額が少ないと感じても、追加で香典を渡すことはマナー違反なので避けましょう。
袱紗(ふくさ)
香典の不祝儀袋は、袱紗に入れて持っていきます。弔事の際はグレー・紺・緑や紫などの袱紗にしましょう。また、袱紗を開いたときに表書きが見えるようにし、左開きで包みます。
バッグ
葬式にバッグを持参するときは、黒色で光沢がなく、布製の小さめのものにしましょう。派手な装飾のあるもの、殺生を連想させる革製や毛皮などついたバッグは控えた方がよいです。また、ショルダーバッグやリュックサックはカジュアルな感じが出てしまうので、ハンドバッグにしましょう。
アクセサリー(ネックレス・指輪・イヤリング・ピアス)
アクセサリーは最低限のものにとどめ、葬式の場では華美なものを控えることが大切です。ネックレスは、涙を連想させる白い真珠か黒い真珠にしましょう。不幸が重なるとされる二連・三連を避け、一連で粒の小さいものがよいです。指輪は結婚指輪以外は外しましょう。結婚指輪がゴールドなどの明るい色であれば、外した方が無難です。
イヤリングやピアスは葬式の場にふさわしくないので、身につけるのを控えましょう。どうしても身につけたい場合は、一粒でパールのものを選ぶとよいです。ただし、コットンパールはカジュアルな印象を周りに与えるのでやめましょう。
コート
黒い礼装用のものがおすすめです。素材は毛皮や革ではなく、ウールやカシミアにしましょう。また、コートのボタンも派手でないものにし、コートについているファーは取り外します。
くつ
男性は黒い革靴、女性は黒いパンプスが葬式では好まれます。男性はつま先がとがっているものや金具のついているものは避けましょう。女性はワンポイント入りのくつやヒールの高いくつ、露出の多いものは避け、着脱に時間がかかるストラップタイプのものも控えましょう。男女問わず、シンプルで光沢がなく合成皮革か本革のくつが無難です。
まとめ
数珠は、葬式の必需品です。葬式で数珠がないのは社会人としてマナー違反になりますので、早めに用意しておきましょう。宗派によって適切な数珠が異なりますので確認も必要です。
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