位牌は何のためにあるの?役割から取り扱い方について徹底解説
終活・準備,お葬式の品目,葬儀後葬儀を行った経験があまりないと、位牌をどのように準備すればよいか分からないことがあるでしょう。そもそも、位牌そのものについてよく知らないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では位牌の役割や種類・選び方などを紹介します。正しい扱い方まで解説するので、ぜひ参考にしてください。
そもそも位牌とは?
位牌とは、故人の戒名・没年月日・生前の氏名・享年などを記したものです。亡くなった後の故人を象徴するものとして重要な役割を持っています。葬儀~四十九日の間は仮の位牌を使い、四十九日法要~忌明けには正式な位牌を用いるのが一般的です。
位牌は仏壇店で購入できますが、文字入れには2週間ほど時間がかかるため、入れる文字はできるだけ早く仏壇店に伝えておきましょう。正式な位牌が届いたら、自宅の仏壇に安置して、故人の魂をお祀りします。仏壇を購入するのが難しい場合は、お寺の位牌檀に安置することも可能です。
位牌の起源は?
位牌は、中国の儒教で使われていた「木簡」が起源とされています。木簡には故人の生前の官位や氏名などを書いていたそうです。日本へは、鎌倉~室町時代に儒教の思想を強く受けた禅僧によって持ち込まれたと言われています。
位牌が一般庶民に広がり始めたのは1500年代からで、江戸時代になるとさらに多くの人に普及しました。日本の仏教では、葬式に白木位牌、忌明けの四十九日には漆塗りの位牌を用いますが、これは儒教の思想が反映されているためです。
位牌の役割
位牌は、故人の魂が宿る依り代として働きます。例えば仏壇の前で遺族が感謝の気持ちを述べた場合、その言葉は位牌を通して故人に伝わります。位牌がないと故人の魂が帰ってくる場所がなくなるため、こちらからのメッセージも伝わりにくくなります。
仏壇だけでは、故人が帰ってくる仮の場所を用意したにすぎず、故人をお祀りするには不十分です。仏教では、位牌を置くことで、初めて故人を供養できると考えられています。ちなみに、位牌は浄土真宗以外の各宗教でも必要です。
位牌の安置方法
位牌は、仏壇に祀られている御本尊、つまりお釈迦様の近くか下段に安置することとされています。これは故人が死後、御本尊のそばで生まれ変わると考えられているためです。御本尊は宗教・宗派によって異なりますので、葬儀の際は事前に確認しておきましょう。
仏壇は、御本尊をお祀りするためのものです。そのため仏壇の前でするお祈りは、故人ではなくお釈迦様に向かっておこなう行為です。御本尊の近くに位牌を安置することは、故人が御本尊をお参りできるようにするためでもあります。
位牌の種類と役割
位牌には「仮位牌」「本位牌」「寺位牌」の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴と役割を説明します。
仮位牌
葬儀~四十九日の間に使用する仮の位牌です。故人が亡くなったらすぐに作ります。なぜ仮位牌を使うのかというと、四十九日までは故人の魂が成仏できないで彷徨っていると考えられているためです。成仏できないでいる故人の魂を、正式な位牌に宿らせるわけにはいきません。
四十九日が過ぎたら、正式な位牌に移行します。取り替えられた後の仮位牌は、故人のお墓に一緒に埋葬したり、菩提寺に納めたりするのが一般的です。
本位牌
四十九日が終了し、仮位牌の代わりに仏壇に安置する正式な位牌です。お寺の住職から魂入れをしていただくことで、故人の魂が宿る依り代として生まれ変わります。四十九日が終わるまでに用意しておきましょう。
本位牌はさらに、「札位牌」と「繰り出し位牌」の2種類があります。札位牌は故人専用の位牌で、繰り出し位牌はご先祖様すべてを納めた位牌です。仏壇に札位牌として33年もしくは50年安置したら、繰り出し位牌に移行します。
寺位牌
故人の魂をお寺に安置する場合に使う位牌です。仏壇を用意することが難しい場合や、仏壇を継承する親族がいない場合などに利用します。魂の供養を人任せにすることに抵抗を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、僧侶が代わりに永代供養してくれるため問題ありません。
位牌が置かれる場所や供養のやり方などは、依頼するお寺によって変わります。位牌を新たにお寺で作らなければならなかったり、自宅の本位牌をそのまま使えたりする場合もあるので、寺位牌を依頼する場合は事前に確認をとりましょう。
本位牌選びの基準について
位牌は宗教や宗派によらないので、仏壇やお部屋に合わせて自由に選べます。まずは仏壇の大きさを測ってから、サイズを決めましょう。仏壇が小さめの場合は4.0寸~4.5寸、大きめの場合は5.0寸ほどにするのが一般的です。
仏壇はそもそも御本尊を祀るためのものなので、そこに安置する位牌は御本尊より小さくしなければなりません。また、ご遺族の位牌よりも大きくなるのも厳禁です。故人がいくら生前素晴らしい功績を挙げたとしても、初めてご先祖様の中に加わる場合は謙虚な姿勢が求められます。
大きめの位牌を作るのはかまいませんが、ご先祖様の位牌とのバランスを考えることが大切です。夫婦の場合は、一つの位牌に連名を入れられます。
種類によって選ぶ
本位牌には、「塗り位牌」「唐木位牌」「回出位牌」の3種類があります。以下で、それぞれの特徴を説明します。
塗り位牌
昔から使われている伝統的な位牌です。漆で位牌全体を黒く塗り上げて、上から金箔・金粉・蒔絵などを飾り付けています。非常に手間と労力がかかっており見た目も高級ですが、価格的にはそこまでではなくお手頃です。伝統感のある位牌を使いたい場合におすすめです。
唐木位牌
黒檀や紫檀といった高級木材を使用した位牌です。光沢感のある見た目をしており、木材の素朴な感じをそのまま受け継いでいます。高級木材を使っているため、価格は塗り位牌より高めです。
回出位牌
屋根や扉が付いているタイプの位牌です。扉の中には十数枚程度の位牌が納められており、故人の年忌や月忌に合わせて供養できるように工夫されています。ご先祖様の人数が多く、一つの位牌にすべて納めきれない時などに利用するとよいでしょう。
台座の形・デザインで選ぶ
本位牌の台座には、「春日型」「猫丸型」「楼門型」の3種類があります。以下で、それぞれの特徴を見ていきましょう。
春日型
最も基本的な形・デザインをした位牌です。四角の台座に、半円形の札板が置かれています。単純な設計なので価格も安く、少しでも費用を抑えたいという方におすすめです。台座に蓮の装飾がついたものは、「蓮付春日型」と呼ばれています。
猫丸型
台座の形が、猫の後ろ足のように丸まっている位牌です。台座の前面と側面に金粉や金箔を施した「三面金猫丸」や、金粉や金箔をふんだんに使い豪華絢爛に仕上げた「上等猫丸」などが知られています。金粉や金箔を多く使用するため、お値段も高めです。
楼門型
上部に屋根をもつ二階建ての楼門を模した位牌です。台座が「ロの字」のように見えることから、呂門(ろもん)型とも呼ばれています。台座には金箔や蒔絵などが装飾されているため、価格は春日型より高めです。春日型や猫丸型に比べると、自由なデザインをしています。
本位牌を用意するためにやるべきこと
本位牌を用意するためには、「開眼法要」「戒名」「お焚き上げ」を行う必要があります。以下で、詳しい内容を見ていきましょう。
開眼法要
開眼法要とは、位牌に故人の魂を入れる儀式のことです。開眼供養とも呼ばれています。墓前・自宅・菩提寺などで僧侶にお経をあげてもらい、故人の魂を仮位牌から移します。位牌は開眼法要を行って初めて、故人の魂が宿る依り代となります。
開眼法要は、仮位牌の役目が終わる四十九日法要の時に一緒に行います。墓前で行う際は、納骨法要も併せて執り行うのが一般的です。開眼法要が終わったら、位牌を仏壇に安置します。
戒名
本位牌の戒名は、仮位牌に書かれている文字をそのまま刻みます。戒名の入れ方は、「機械彫り文字」と「手書き文字」がありますが、宗教や宗派に関わらず好きな方を選びましょう。
綺麗で整った文字を入れたい場合は機械彫り文字、温かみのある雰囲気を出したいときは手書き文字がおすすめです。戒名がない場合は、生前の名前を使用できます。名前の後に「霊位」や「位」とつければ、戒名と同じ効果が得られると言われています。
お焚き上げ
役目を終えた位牌は、菩提寺でお焚き上げを行います。いつ役目を終えるかは、宗教・宗派によって様々です。例えば仏教では、故人がこの世との未練を断ち切るためにあの世で30年間修行すると考えられているため、三十三回忌が目安です。
お焚き上げの前には、位牌から故人の魂を離れさせるための閉眼供養を行います。お焚き上げの後は、そのままご先祖様の位牌に移行するのが一般的です。新たに位牌を用意する場合は、閉眼供養と並行して、開眼供養も行いましょう。
まとめ
位牌は、故人の魂の依り代となるものです。葬儀~四十九日までは仮位牌を用い、四十九日法要が終わると本位牌に移行します。色やデザインなどはいろいろな種類があるので、部屋や仏壇に合わせて選ぶとよいでしょう。
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