遺骨を土に還す方法やタイミング|遺骨の納め方や期間などのしきたりとともに解説
納骨,終活・準備,手元供養,葬儀後遺骨を土に還す、とは土中に遺骨を埋めることです。現代では納骨室のスペースを空けることを目的に、実施を検討している人も多くいます。この記事では、身近な人が亡くなり納骨の必要が生じた人に向けて、遺骨を土に還す目的や方法などを解説します。納骨の際の参考にしてください。
遺骨を土に還す主な目的とは
遺骨を土に還すという葬送法は、儒教の教えをもとにしていますが、最近は納骨スペースを確保するために行われることも多いです。その場合は、古いものから順に遺骨を土に還すのが一般的です。そのほか、故人をご先祖様として扱うために、あえて遺骨を土に還すこともあります。
遺骨を土に還す方法や手順
実際に遺骨を土に還すときは、どのようなことを行えばよいのでしょうか。具体的な方法と手順を紹介します。遺骨を土に還す方法
遺骨を土に還す方法は、大きく分けて以下の3種類です。1.遺骨をそのまま土中に埋める
2.遺骨を骨壺や袋で包んで土中に埋める
3.遺骨を骨壺や袋で包んで、墓石の下にある納骨室に収納する
遺骨を包む骨壺や袋は、土中で分解される素材を使うことが多いです。そのため1と2の方法は、最終的に同じ状態になります。納骨室には、下層部分に息抜き穴と呼ばれる穴が空いており、埋葬する際はここに遺骨を埋めます。寺院によっては骨壺を一定期間納めたのち、遺骨を土中に埋めることもあります。
土に還るタイプの骨壺もある
骨壺といえば陶器製のものが一般的ですが、最近は自然素材で作られているものも販売されています。たとえば木や竹などで作られた骨壺は、土中で分解されるため、骨壺ごと土に還したいときにおすすめです。費用もそれほど高くなく、陶器製の骨壺と同じくらいの価格で購入できます。遺骨を土に還すまでの手順
遺骨を土に還すときは、以下の手順を参考にしてください。なお、この説明は納骨室の下層にある息抜き穴から土に還すことを想定しています。1.納骨室に安置された骨壺を全部取り出す
2.土に返す遺骨を探す
3.納骨室下層にある砂利をどける
4.遺骨を息抜き穴に入れる
5.砂利を元に戻す
地域によって、骨壺と遺骨を一緒に埋葬するか、壺から遺骨を取り出して土に還すかが異なります。当日に迷わないよう、最寄りの寺院や自治体に確認をとっておきましょう。
遺骨の納め方や期間の目安
遺骨はどのくらい納めておけばよいのでしょうか。具体的な方法や期間を紹介します。納骨の方法はおもに2種類
さらし袋で納骨して土に還す
関西でよく行われているのが、さらし袋で納骨して土に還す方法です。さらし袋は絹を使っているため、時間の経過とともに、遺骨と一緒に土へ還っていきます。骨壺の袋とさらし袋を間違えないよう、注意しましょう。骨壺の袋はポリエステルなどの化学繊維を使っていることがほとんどで、土中に埋めても土に還りません。骨壺を納骨室に納める
多くの地域や宗派で行われているのが、骨壺のまま納骨室に納める方法です。お墓に設置されたカロートと呼ばれる納骨室や納骨棺に、遺骨を収納します。骨壺のまま処理できるため手間を抑えられますが、壺内に水分がたまることも多いため注意が必要です。気になる場合は専門家に相談しましょう。納骨室や納骨棺は、お墓の形状やサイズによりますが、だいたい5~6個ほどの骨壺を収納できます。
遺骨をお墓に入れておく期間にルールはない
遺骨をお墓に入れておく期間に、法律や慣習などの決まりごとはありません。特に問題がなければ、お墓に納骨したまま放置する人がほとんどです。ただし合祀墓などの契約上、一定期間納骨したのち、遺骨を取り出して土に還されるケースもあります。その場合は、寺院や霊園からの戒名料などが費用に上乗せされることがほとんどです。遺骨を土に還すべきタイミング
遺骨はいつ土に還すべきでしょうか。ここでは具体的なタイミングについて紹介します。納骨するとき
納骨と同時に、遺骨を土に還す場合もあります。つまり、納骨時に骨壺から取り出した遺骨をそのまま土葬する、ということです。実際樹木葬では、遺骨をそのまま土中に埋めることが多いです。まれにですが、納骨室を作らず近くの土中に遺骨を埋めるお墓もあります。できるだけ早く遺骨を土に還したい場合におすすめです。カロートがいっぱいになってしまったとき
カロートがいっぱいで骨壺を納められない場合は、納骨室にある骨壺を減らすために、すべての骨壺を取り出し、古い遺骨から順に埋葬していきます。平均的なお墓だと、大体5~9個ほどの骨壺を収納できることが多いです。収納数は、お墓のサイズや形状によって異なるため、しっかりと確認しましょう。納骨のタイミング
特に決まったルールはありませんが、法事の忌明け時を埋葬のタイミングとするケースも多いです。法事の忌明け明け後は、故人の仏事を行わなくなるため、遺骨を土に還しても問題なくなります。忌明けと同時に、仏壇の位牌を祖先の位牌と合祀するケースも多いです。遺骨が土に還るまでにかかる期間
遺骨が土に還るまでには、土葬で百年程度、火葬で数百年規模の膨大な時間を要するといわれています。数年程度で、人骨と土が同じ成分になることはありません。土の成分や環境によっては、千年以上、土に還らないケースもあります。遺骨が土に還る期間は、骨の形状や土壌の酸性度によって決まります。骨はカルシウムで構成されているためです。酸性が強い土壌に埋めると、分解が促進され土に還る時間が早くなります。事前に細かく砕いて粉末状にするのも、分解を早める要因です。
遺骨を土に還した後改葬が決まった場合の対処法
遺骨を土に還した後に改葬が決まった場合は、各種行政手続きが必要です。改葬する際は、現在埋葬している自治体に埋葬証明書などと共に改葬許可申請書を提出し、改葬許可証をもらいましょう。遺骨が既に土に還っていた場合は、これらの行政手続きは不要です。厚生労働省による通達でもしっかり明示されています。遺骨が土に還っているかどうかは、実際に土を掘り返してみないとわかりません。そのため改葬許可証は、用意しておきましょう。
遺骨を土に還す以外の方法
遺骨を処理する他の方法も知りたいという人のために、遺骨を土に還す以外の方法を紹介します。1つの骨壺にまとめる
古くなった遺骨は、風化により全体の容積が減っているため、1つの骨壺にまとめられます。遺骨を1つまとめると、土に還すことなく納骨室のスペースを空けられるためお得です。改葬する際の労力も抑えられます。古い遺骨の基準は宗派によりさまざまです。仏式の場合、33回忌もしくは50回忌以降は弔い上げとなり、故人をご先祖様として扱うため遺骨を1つにまとめても問題ありません。分骨する
分骨とは、故人の遺骨を別々の場所に納骨し、供養することです。場所が異なれば、納骨先は2つでも3つでも構いません。既に埋葬した遺骨の一部を取り出し、別の場所に納骨する場合も、分骨にあたります。お墓が遠方にあり、お参りに行くのが困難な場合は、近くの寺院などに分骨すれば移動にかかる手間を減らせます。粉骨する
粉骨とは、遺骨を粉末状にすることです。全体の容積が減るため、持ち運びがしやすくなり、納骨スペースの節約にもなります。小さな容器に収納できるため、自宅に納骨する手元供養にもおすすめです。家族や親族間での分骨もしやすくなります。粉骨する際は、専門業者に依頼しましょう。自分で遺骨をすりつぶすのは手間がかかるため、現実的ではありません。
散骨する
散骨とは、粉骨した遺骨を自然の中に撒いて供養することです。新しいお墓を用意する必要がなく、納骨に関する費用を節約できます。寺院や霊園などに支払う、年ごとの手数料も必要ありません。宗教や宗派によらず、実施できる点も魅力です。お墓を引き継ぐ必要がないため、住居なども自由に選べます。まとめ
遺骨を土に還すという葬送法は、儒教の教えから発生したものですが、最近は納骨室のスペース確保のために行われています。遺骨をそのまま土中に埋めたり、骨壺のまま安置したりと、さまざまな方法があるので、状況に応じて取り入れやすい方法を選ぶといいでしょう。アイワセレモニーでは、葬儀内容や費用について事前に無料で相談・お見積もりを行っています。臨終から葬儀はもちろんのこと、葬儀後のサポートも可能です。遺骨の埋葬方法についてお悩みの際は、ぜひご相談ください。
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