納骨堂と墓の違いとは|それぞれの特徴と合わせて永代供養(墓)についても解説
納骨,お墓・墓地,終活・準備,葬儀後納骨堂と一般的なお墓には、納める場所や手入れの方法、条件などに違いがあります。この記事は遺骨(骨壺)をどこに納めて供養したらいいかを悩んでいる人に向け、納骨堂と一般的なお墓の違いについて解説します。メリット・デメリット、費用の違い、永代供養、永代供養墓の意味も解説しているので、参考にしてください。
納骨堂と墓の違い
墓とは
お墓とは主に屋外の墓地を購入し、墓石を建ててご遺骨(骨壺)を納め、供養する場所を指します。家の単位で所持し、先祖代々受け継ぎ、お墓参りに行き墓石や周辺の清掃をし、お花やお線香を供えることで故人を供養する場所といったイメージを持つ人が多いでしょう。
現在では新たなお墓の形が増えており、後述する納骨堂や永代供養墓も新たなお墓の形の1つとされています。
納骨堂とは
納骨堂とは、昭和50年頃までは墓地に埋葬するまでの間、お寺のお堂など一時的にご遺骨(骨壺)を納める場所という意味合いでした。現在も一時的にご遺骨(骨壺)を預ける場合もあり、その場合は後日改めてお墓に納骨します。
また半年や1年、数年など一定の期間預かってもらうことも可能です。預かってもらうためにかかる費用は施設によって異なります。近年は新たなお墓の形の1つとして注目されており、以下で特徴を解説します。
墓という意味での納骨堂の特徴
納骨堂とは屋内でご遺骨(骨壺)を保管してくれる場所のことを指し、お寺や自治体などが運営・管理を行っています。納める場所を購入し、決められたスペースに納骨するため墓石は不要です。個人、夫婦、家族単位で入ることが可能です。
ロッカー式などさまざまな種類があるため、種類ごとの特徴はのちほど解説します。一般的にイメージするお墓参りは、納骨堂に行くことになります。いずれ合祀になりますが、永代供養してもらうことも可能です。永代供養については、のちほど詳しく解説します。
納骨堂と墓の違い(まとめ)
ご遺骨(骨壺)を納める場所の違い
一般のお墓は屋外の土地を区画ごとに分け、そこに建てたお墓の下の、埋蔵スペースにご遺骨(骨壺)を納めます。納骨堂は、ロッカー式など種類によって場所はさまざまですが、屋内の施設内に納めます。
墓石及び、納骨場所のお手入れの要不要の違い
一般のお墓は墓石を建てる必要があり、墓石の定期的な掃除や雑草を取り除くなど、区画内の清掃をする必要があります。納骨堂は墓石が不要で、管理者が維持・管理をしてくれるため清掃は不要です。
ご遺骨を納めておいてもらえる期間や条件の違い
一般のお墓は、納骨後半永久的に供養してもらえます。ただし、継承する人が途絶えないことが条件です。納骨堂は、継承する人がいない場合であっても利用可能です。ただし契約期間があり、契約期間後は他の人とともに埋葬する合祀となります。
墓参りの仕方の違い
一般のお墓は、お墓の前でお線香をあげてお参りします。納骨堂は、ご遺骨を納めているスペースや共同参拝スペースでお参りをします。ただし屋内のためお線香が禁止されており、代わりに焼香台が用意されているケースがあります。
費用面の違い
一般のお墓は、墓石を建てるための金額(たいていの場合100万円以上)、永代使用料、墓地管理費などがかかります。納骨堂は、永代使用料に加え、永代供養料などがかかります。永代供養料とは、お寺や霊園が存続する限り供養してもらうための費用です。
納骨堂のメリット・デメリット
納骨堂のメリット
納骨堂は一般的なお墓より費用が安い傾向があり、種類が豊富です。6~8人程度まで納められます。管理者が管理してくれるため、お墓の掃除が発生せず、スペースも清掃されていて綺麗です。お線香などを持たずにお参りに行けるのも便利です。
また、一般的なお墓のようにお墓を継承する人がいなくても、無縁仏になる心配がありません。高齢の人や遠方にお墓がある場合にも安心です。都内の駅近などアクセス良好な納骨堂もあり、屋内のため悪天候でもお参りしやすく、お骨が雨に濡れることもありません。
納骨堂のデメリット(注意点)
永久にその場に納められるわけではなく、最終的には他の人のご遺骨(骨壺)と一緒に埋葬され、個別にお参りすることができなくなってしまいます。また屋内のため、お線香をあげられずお参りしている感じを得られない人もいます。お参りできる時間が決められていることが多く、お盆やお彼岸など多くの人が訪れる時期は混雑する傾向があります。
一般のお墓に比べると、多くのご遺骨を納めることは難しくなります。檀家加入などの追加費用がないかや、ご遺骨の入ったロッカーを開けられるかなども注意が必要です。
墓のメリット・デメリット
墓のメリット
自分の区画があるため、お参りのスペースが広くゆっくりと参拝でき、故人を身近に感じられます。屋外のためいつでも参拝でき、時間的な制限もゆるやかです。また納骨堂は一時的に安置する場所という考えを持つ人も少なくなく、ご遺骨を納める際、納骨堂よりも受け入れられやすいでしょう。
墓のデメリット(注意点)
長期間保管を続けていると雨のせいでご遺骨が濡れてしまったり、墓石の劣化が生じたりすることがあります。そのため、管理に気を遣う必要があります。また墓石を建てることになるため、納骨堂よりもお金がかかる傾向があります。
納骨堂・墓、それぞれの費用の目安
納骨堂
納骨堂の料金体系はさまざまですが、付加価値があると高くなる傾向があります。目安としては、1人用であれば50万、家族用は100万円ほどです。加えて、管理費が年間1万円前後かかることがあります。一方で、昔からある棚に骨壺を安置するだけの棚式であれば3~10万円と、大幅に費用を抑えることも可能です。
一般的な墓
どのような墓石にするかによって大きく変わりますが、多くの場合は墓石を建てる費用として100万円以上かかります。永代使用料を合わせるとさらに金額は大きくなり、また地域によっても相場は異なります。
納骨堂の種類を紹介
ロッカー式
コインロッカーのような小さな扉が並んだ、昔ながらのタイプです。鍵をかけられるため、骨壺とともに位牌や写真など故人ゆかりの品を入れられます。継承はできず、埋蔵人数は多くの場合1~4名です。納骨堂のなかでは比較的費用を抑えられます。
機械式、自動搬送式
普段はご遺骨を1箇所に集めて置いており、お墓参りの時にカードなどをかざし機械を操作をすると、自動搬送されて出てくる方式です。24時間お参りできる納骨堂もありますが、新しいタイプのため費用はやや高めです。埋蔵人数は、1~8名ほどと幅があります。
仏壇式
小型仏壇になっているタイプで、多くの場合上部に仏壇、下部にご遺骨を納める二段構造になります。スペースが広いため位牌を置くこともできますが、費用が高額になる傾向があります。埋蔵人数は4~10名ほどのため、一家のお墓として向いています。
位牌式
位牌式はおもにご遺骨が別の場所にあり、お参りは位牌にするものです。ご位牌に遺骨を入れられるタイプもあります。位牌のスペースしかないことが多く、故人ゆかりの品を飾ることはできません。費用は抑えられますが、収蔵人数は多くの場合1人です。
その他
屋内に墓石が並んでおり費用は高額なものの天候に左右されない墓石型や、棚に骨壺を安置するため費用が抑えられる昔ながらの棚式、複数の人のご遺骨を同じ場所に埋葬するため費用を大幅に抑えられる合葬・合祀式などもあります。
納骨堂と墓どちらを選んだらいいか
納骨堂とお墓、どちらがよいか悩む人も少なくありません。違いをよく理解し、生活習慣に合わせて選びましょう。以下で、選ぶ際に役立つ考え方を解説します。
いずれ墓に埋葬したい気持ちがあるかどうかで選ぶ
将来的にお墓をどうするのか、しっかり考えて選びましょう。お墓を建てるかどうかで、位置づけが変わります。いずれ先祖代々のお墓に埋葬したい、今後新たにお墓を建てたい、などの気持ちがある場合はお墓を選び、それまでの間一時的に納骨堂に預けることもできます。
お墓参りや維持をすることが難しいなど、不安がある場合は納骨堂を選びましょう。後継者がいるかいないかで判断するのも方法の1つです。また、宗派によってはお墓と納骨堂の両方に納骨する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
納骨堂が気になっている場合は条件をよく検討する
納骨堂を選ぶ際は契約期間や立地など、条件をよく確認しましょう。多くは契約期間後、合祀となり永代供養されるのが一般的ですが、期間後に遺族にご遺骨が返還される場合があります。古い施設の場合、建て替えを行う際にご遺骨をいったん引き取らないといけないことがあるため、不安を感じるのであれば確認しておきましょう。
またお墓参りできる時間や、費用で選ぶこともできます。一般的にお墓のほうが高額とされますが、墓石型や機械式の場合は納骨堂のほうがかかるケースもあります。納骨堂でのお参りではお線香を焚けないことが多いため、違和感をおぼえる場合にはお墓を選んだほうがよいかもしれません。
永代供養・永代供養墓とは
最後に納骨堂という言葉の意味合いや、言い回しが混在しがちな「永代供養」と「永代供養墓」というの言葉の間にはどういった違いがあるのかを解説します。
供養の形|永代供養
永代供養は、供養の形態の一種です。家族が管理できなくなっても、お寺や霊園が代わりに管理してくれることを指します。支払いは契約時に行うため、継承者がいなくなった場合でも管理してもらえます。似た言葉に永代使用がありますが、こちらはお墓のために購入した土地をずっと使用することを意味します。
新しいお墓の形|永代供養墓
永代供養墓とは、継承者を立てる必要のないお墓のことです。管理者が半永久的に管理・供養をしてくれ、費用も抑えられます。ただし、ご遺骨は他の人とともに埋葬されます。永代供養墓は半永久的に管理・供養してもらえるお墓であり、納骨堂はご遺骨を屋内に収蔵する施設であることが違いです。
まとめ
納骨堂は一般的なお墓より費用を抑えられる場合が多く、管理者が維持・管理してくれることが大きなメリットです。種類も豊富なため、条件などをよく検討してどちらにするか選ぶとよいでしょう。
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