相続した不動産の売却でかかる税金とは?種類や節税方法をシミュレーションとともに解説
終活・準備,葬儀後相続した不動産には税金がかかります。賃貸などで活用しない場合は、売却するという方法があります。しかし、売却でも税金は発生するため、節税する方法を知っておくと安心です。この記事は、相続した不動産の売却を検討している人に向けて、売却にかかる税金について解説します。節税情報や税金のシミュレーションも解説しているので、参考にしてください。
相続した不動産を売却するときにかかる税金の種類
不動産の売却では、売却時・前後を含めて5つの税金がかかります。ここでは、売却でかかる税金の種類について解説します。名義変更時に登録免許税
相続登記の名義変更でかかる税金で、税額は不動産の価格の0.4%と定められています。相続登記とは、相続した不動産の名義を新しい相続人に変更する手続きです。ローンなどで購入し、抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消登記が必要です。この場合の登録免許税は、不動産の数×1,000円です。売却時に印紙税
土地の売買契約書に収入印紙を貼付して納める税金です。印紙税の金額は、契約金額により差があります。たとえば、契約金額が100万円〜500万円以下の印紙税は2,000円、1億円〜5億円以下は100,000円です。2022年3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減税率が適用されて、1,000円〜60,000円になります。売却後に譲渡所得税
譲渡所得に対して課税される所得税です。譲渡所得とは不動産を売却して出た利益で、税率は不動産の保有期間によって異なります。5年以下の保有は短期譲渡所得として所得税は30%、5年を超える場合は長期譲渡所得となり、所得税は15%です。土地の保有期間は、相続人が取得した日からではなく、被相続人の保有期間も含まれます。売却後に住民税
譲渡所得に対して、住民税も課税されます。譲渡所得と同様に、不動産の保有期間によって税率が異なります。保有期間が5年以下の税率は9%、5年を超える場合の税率は5%です。国税庁のページで、土地や建物の譲渡所得に対する税金として、譲渡所得税と住民税が解説されています。ぜひ参考にしてください。※参考:土地や建物を売ったとき|国税庁
売却後に復興特別所得税
東日本大震災の復興に必要な財源確保のために、新設された税金です。税率は不動産の保有期間が5年以下の場合は0.63%、5年を超える場合は0.315%が譲渡所得税に加算され、税額=基準所得税額×2.1%で求められます。復興特別所得税については、国税庁のページも参考にしてください。※参考:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁
売却にかかる税金は相続人全員で支払う
売却にかかる税金は、相続人全員で支払わなければなりません。複数の相続人がいる場合は、2つの方法から選べます。1つめは相続人全員で共有名義にして売却し、それぞれが納税する方法です。2つめは、代表者に名義を移して登録免許税・印紙税を立て替える方法です。そのほかの税金を、各自が確定申告して納税すれば、手続きの負担が軽くなります。売却で利用したい節税対策になる特例
不動産の売却では、税金の軽減特例が利用できるケースがあります。ここでは、節税対策になる5つの特例を解説します。相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
不動産の売却で利益が出た場合に、譲渡所得税が軽減される特例です。適用要件は3つあり、以下の条件をすべて満たさなければなりません。・相続または遺贈で取得した財産である
・相続時に相続税を納税している
・相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却している
期限を過ぎると特例が利用できなくなるため、注意しましょう。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続した空き家を売却して利益が出た場合、所定の要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除が受けられます。適用条件は以下の3つです。・1981年5月31日以前に建築された
・区分所有建物登記がされている建物ではない
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった
売却期間は、2016年4月1日〜2023年12月31日までが該当します。ただし、マンションは適用外です。
マイホームを売ったときの特例
マイホームの売却は、保有期間に関わらず、最大で3,000万円の控除が受けられます。適用条件は、自分が住んでいる家屋であること、以前住んでいた場合は、住まなくなった日から3年経過する日が属する年の12月31日までに売却することです。譲渡所得が3,000万円以下であれば、税金はかかりません。なお、3年に1度しか利用できないため、前年・前々年に3,000万円控除を受けていないことが、適用の前提条件となります。
公共事業目的の土地の売却で適用される特別控除
公共事業を目的に土地を売却した場合、条件を満たせば、譲渡所得から最大で5,000万円の特別控除が受けられます。譲渡所得の対象とならない土地に該当しないこと、収用などによる土地の譲渡であることなど、複数の要件を満たす必要があります。農地の売却で適用される特別控除
農地の売却に適用される控除で、条件によって控除金額が異なります。農業委員会の斡旋などに譲渡した場合、または農地中間管理機構・農地利用集積円滑化団体に譲渡した場合は、800万円の控除が受けられます。農用地区域内の農地などを、農業経営基盤強化促進法の買入協議により、農地中間管理機構に譲渡した場合は、1,500万円の控除になります。売却でかかる税金のシミュレーション
特例や控除は、どの程度の節税になるのでしょうか。ここでは、売却価格が5,000万円、土地の購入価格が3,000万円、譲渡費用(取り壊し)が200万円、保有期間5年以上の場合についてシミュレーションをします。何も特例・控除を受けない場合
譲渡所得と各税金、税金の合計額は以下のとおりです。譲渡所得=5,000万円-(3,000万円+200万円)=1,800万円
所得税=1,800万円×15%=270万円
住民税=1,800万円×5%=90万円
復興支援特別所得税=270万円×2.1%=5.7万円
税金の合計額=270万円+90万円+5.7万円=365.7万円
特例や控除を受けない場合は、365.7万円の税金を納めなければなりません。
空き家売却時の3,000万円控除を利用した場合
同条件で控除を適用する場合について、シミュレーションをします。譲渡所得=5,000万円-(3,000万円+200万円)=1,800万円
1,800万円は3,000万円以下であるため、譲渡所得は0になります。その結果、所得税・住民税・復興支援特別所得税はかかりません。365.7万円の支払いが必要になるところ、控除の利用で大きな節税効果が期待できることがわかります。
相続した不動産売却で利益が出たら確定申告が必要
不動産売却で利益が出た場合は、確定申告が必要です。ここでは、必要な書類や手順について解説します。確定申告が必要かを判断する方法
確定申告が必要かどうかは、譲渡所得を計算して判断しましょう。「譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」を算出し、利益が出る場合は、確定申告の必要があります。不動産の売却は個人の取引になるため、会社員でも会社の年末調整とは別に、必ず自分で申告しなければなりません。譲渡所得がマイナスになる場合は、確定申告は不要です。必要な書類
確定申告では、不動産取得時と売却時の売買契約書、取得費の領収書といった、証明できる書類が必要です。そのほかにも、税務署で確定申告書B様式、分離課税用の申告書、譲渡所得の内訳書を入手します。法務局では登記事項証明書を入手しましょう。提出時にマイナンバーも必要になるため、早めに準備を進めておくと安心です。申告のタイミングと手順
申告のタイミングは、売却した翌年の2月16日〜3月15日です。申告手順は、以下のとおりです。1.確定申告に必要な書類を準備する
2.不動産売却にかかる所得税を計算する
3.確定申告書に記入する
4.税務署に必要書類を提出する
5.納税又は還付を受ける
計算方法や記入方法で不明な点がある場合は、税務署の相談会に参加したり、署員に相談したりできます。提出後に税務署から指摘される場合もあるため、書類に抜けや漏れがないように準備しましょう。
自分で手続きが難しい人はプロに相談
相続した不動産の売却には、相続、税金、不動産の知識が必要です。不安に感じる人は、プロに相談する方法も有効です。ひとくちに不動産売却といっても、相談相手は不動産会社、税理士、司法書士、弁護士など、さまざまです。内容によって相談先が異なるため、売却は不動産会社、確定申告は税理士など、相談したい内容にあわせて選びましょう。まとめ
相続した不動産の売却では、主に5つの税金がかかります。節税対策になる特例を受ければ、大きな節税効果が見込めます。適用条件に当てはまるかどうかを確認して、理想的な売却を進めましょう。不安な場合は、プロのサポートを受ける方法も有効です。「アイワセレモニー」は地域密着型の葬儀社です。葬儀の事前相談から、相続を含む葬儀後のサポートまで安心体制を整えています。事前相談は無料です。ぜひご相談ください。
お問い合わせ