故人の遺骨をアクセサリーに加工する「遺骨アクセサリー」が注目されています。遺骨アクセサリーには法律上の問題はなく、新しい供養のスタイルとして広まりつつあります。この記事では、遺骨アクセサリーに興味がある方に向けて、遺骨アクセサリーの種類や作り方、費用の相場を解説します。注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。

遺骨アクセサリーとは？

遺骨アクセサリーとは、故人の遺骨をペンダントやブレスレット、リングなどに加工したものです。「メモリアルジュエリー」「メモリアルペンダント」とも呼ばれています。遺骨をアクセサリーにして、手元で供養するという新しいスタイルです。一方で、伝統を大切にする層には受け入れられにかったり、紛失や盗難・破損の可能性があったりなどのリスクもあります。

遺骨アクセサリーは手元供養になる

そもそも手元供養とは、墓地や寺院に足を運ぶことなく、自宅で供養することです。遺骨アクセサリーもその1つで、身に着けることにより、いつでも故人を身近に感じるという供養になります。最近は、時代の変化により永代供養や先祖供養ではなく個人や家族単位での供養が増え、遺骨アクセサリーへの理解も広がっています。

ペットの遺骨もアクセサリーにできる

ペットを家族としてみる方は多く、ペットの遺骨アクセサリーを作る家庭も増えています。遺骨アクセサリーを扱う業者の中には、好きな動物のモチーフに加工してくれる業者もおり、ペットの生前の姿を真似たアクセサリーを持つことも可能です。遺骨をアクセサリーにすることで、愛するペットを生前と同じようにいつでも身近に感じることができます。

遺骨アクセサリーの種類

遺骨アクセサリーには、ブレスレットやネックレスなど、いくつか種類があります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。

ブレスレット

ブレスレットとして腕に巻くタイプの遺骨アクセサリーです。カプセルやシリンダーの部分に、粉骨した遺骨を納めます。金属チェーンや数珠、バングルなどのデザインがあります。なお、カプセルやシリンダーは、装着中にネジが緩んでくる可能性があります。接着剤やネジの緩み防止剤を使用するとよいでしょう。

ネックレス・ペンダント

首からかけられるタイプの遺骨アクセサリーで、トップ部分に粉骨した遺骨を納めます。トップやチェーンの素材やデザインの種類が最も多く、好みのデザインを探しやすいです。ただしブレスレットと同様に、トップ部分が緩む可能性があるため、接着剤やネジの緩み防止剤の使用が推奨されています。

リング・指輪

指に装着できる遺骨アクセサリーです。カプセルなどを設けるものもありますが、最近は指輪の内側に遺骨を納めて蓋をする工法が増えています。蓋部分が透明なため、いつでも遺骨を確認することが可能です。他にも樹脂で埋め込む工法もあります。邪魔になりにくく、デザインも豊富に用意されています。

遺骨アクセサリーに使われる素材

遺骨アクセサリーには「チタン」「ステンレス」「シルバー」「ゴールド」「UVレジン」「ガラス」などの素材が使われます。チタン・ステンレス・UVレジン・ガラスは、金属アレルギーが起きにくく、安心して使えるでしょう。特にチタンやステンレスは、医療器具に使われるほど人体に馴染みます。

シルバーは、メンテナンスをするごとに味が出るため、長く愛用したい方におすすめです。ゴールドは、耐久性と高級感とに優れ、貴金属としても価値があります。

遺骨アクセサリーの作り方

遺骨アクセサリーは、カプセル加工や樹脂加工で作られることが多いです。ここでは特徴や加工方法について解説します。

カプセル加工

カプセル加工はポケットの中に遺骨を納める工法です。カプセルに納めた後に指輪やネックレスに装着して身につけます。自由にカスタマイズできるため、一般的な装飾品と変わらない外観を作れます。価格も手頃で、安いものだと1,000円前後で購入可能です。遺骨アクセサリー用のカプセルを購入して自作することもできます。

樹脂加工

樹脂加工は遺骨を樹脂で固め、アクセサリーに埋め込む方法です。遺骨もデザインの一部となっており、完成すれば世界に1つだけのアクセサリーとなります。業者の中には好きなバースデーストーンを一緒に納めてくれる所もあり、おしゃれ好きの方にもおすすめです。遺骨を樹脂で固めるので、温度や湿度の影響を受けにくいというメリットもあります。

遺骨でダイヤモンドも作れる

遺骨には炭素が含まれているため、ダイヤモンドにも加工できます。費用は約40万円からで、カラット数や色によっては、数百万円かかるケースもあります。遺骨ダイヤモンドは、普通のダイヤモンドとほとんど見分けがつきません。なお、加工中にDNAが破壊されるため、加工後は誰の遺骨が判別できなくなります。

その他の宝石にも加工できる

遺骨は、麗石や真珠・サファイアにも加工できます。麗石は遺骨と特別な石を一緒に溶かして固めて作ります。真珠は養殖工程中に遺骨を注入する方法と、完成後に穴を開けて遺骨を入れる方法があります。サファイアは天然のサファイアと遺骨を使う方法で、一部の業者のみが扱う技術となります。

遺骨アクセサリーは法律や宗教で問題になるか？

遺骨アクセサリーの法律や宗教面での問題を解説します。実際に遺骨アクセサリーを作る際の参考にしてください。

現在の日本の法律では問題ない

遺骨の取り扱いは「墓地・埋葬等に関する法律」や「刑法第190条」で規定されていますが、いずれも遺骨を加工することに対しての規定はありません。ただし、遺骨アクセサリーのために分骨した遺骨を別の場所に納める場合は「分骨（火葬）証明書」の提示が必要です。「分骨（火葬）証明書」は、しっかり保管しておきましょう。

宗教上の問題はないが、教えや考えに合わないこともある

遺骨を一箇所に納めるのではなく、分骨して供養する習慣は昔からあります。しかし宗教の教えや考えによっては、分骨に抵抗感をもつ人もいます。遺骨アクセサリーを身につけることで、「故人が成仏できない」「執着が生まれる」という意見もあります。

遺骨アクセサリーを作成する際は、分骨や手元供養の考えを丁寧に説明し、遺族に理解を求めてから作成しましょう。

遺骨アクセサリーを扱うときの注意点

遺骨アクセサリーは、紛失や所有者の選定などいくつか注意点があります。それぞれの対処法を解説します。

事前に本人や家族、親族と話し合って決める

遺骨アクセサリーは増加傾向にありますが、まだまだ一般的ではない供養法です。そのため、事前に本人や家族・親族の理解を得ることが大切です。周囲に黙って遺骨アクセサリーを作ると、思わぬトラブルになるケースもあるので注意しましょう。もしも反対されたら、身につけずに自宅で保管して供養するという方法もあります。

遺骨アクセサリーの紛失に注意する

遺骨アクセサリーは、普段から身につけることが多く、紛失する可能性もあります。故人を身近に感じられる貴重な品なので丁寧に扱いましょう。ネジの緩み防止剤や接着剤を用いて、カプセルやシリンダーのネジを固定することも大切です。チェーンが切れて落としてしまったといったことがないように、普段からのお手入れも欠かさないようにしましょう。

自分に何かあったときの遺骨アクセサリーの扱い方を決める

万が一自分に何かがあった時、遺骨アクセサリーをどのようにするのかは、あらかじめ周囲に伝えておきましょう。遺骨アクセサリーを作るだけでなく「自分の棺に入れてほしい」「先祖のお墓に納めてほしい」など、その後の扱いについて要望を決めるのも大切です。誤って処分されてしまったり、残された親族の負担をかけたりすることがなくなります。

遺骨アクセサリーの費用相場

遺骨アクセサリーは、ネックレスやペンダントであれば、数千円程度で作成できます。専用のカプセルやパーツを購入して自分で作る方もいます。ダイヤモンドなどの宝石に加工する場合は、40万円～数百万円程度の費用がかかります。価格は素材やデザインでも変わるため、事前によく確認しましょう。

まとめ

遺骨アクセサリーは、故人の遺骨をブレスレットやネックレス、指輪などに加工する供養法です。遺骨をアクセサリーとして身に着けることで、故人をいつでも身近に感じられます。加工する方も増えていますが、まだ新しい供養のスタイルです。事前に本人や親族としっかり相談し、理解してもらうことが大切です。

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