天理教の葬儀の特徴とは| 当日の流れやマナー、注意点など詳し く解説します
お葬式のマナー,葬儀の種類この記事は天理教の葬儀について書いています。実際に参列することになった場合の当日の流れやマナー、注意点についても解説しています。さらに、もしも葬儀を行う側になった場合はどうしたらいいかについても簡潔にご紹介していますので、天理教の葬儀の特徴を理解するための参考にしてください。
天理教とはどのような宗教か
天理教は、江戸時代末期に中山みきを教祖として誕生した新宗教のことです。現在は、奈良県天理市に本部を置いています。天理教は、教祖の中山みきがこの世を創造した「天理王命(てんりおうのみこと)」という神の啓示を受けたことが始まりです。
天理教は、神が人間に体を貸しているという考え方を持っているのが特徴で、人類全てを兄弟姉妹だと考え、お互いを助け合って仲良く暮らす「陽気ぐらし」の世界を目指しています。
天理教には、天理教の教会がある
天理教は、神道の一種として考えられていますが、参拝場所は神社ではありません。天理教には、17,000ほどの天理教の教会が全国各地に存在しており、そこに参拝に行くことになります。また、葬儀を行う際も神社ではなく天理教の教会に対して相談することになりますので注意してください。
天理教における葬儀の意味
天理教は神様から体を借りている、という考えを持っています。そのため、葬儀は借りていた体を神様に返し、次の新しい体が見つかるまで故人の魂を神様に預かってもらう儀式という意味を持ちます。
天理教の葬儀の特徴は
天理教は、神道の一種と考えられることもあり、葬儀の形式も全体的に神式に近いものとなっているのが特徴です。しかし、死に対する捉え方が神式とは異なり、「出直し」と捉えている点など、一般的な神式と全てが同じというわけではありません。
天理教の葬儀における神式との違いについては、以下の項目で詳しく解説します。
天理教の葬儀【通夜・告別式】の一般的な流れ
天理教の葬儀は、通夜に該当する「遷霊祭(せんれいさい)」や「鎮霊祭(ちんれいさい)」と呼ばれる式と、告別式に該当する「発葬祭(はっそうさい)」に分かれます。また、天理教においては、故人の魂を体から移す儀式である「みたまうつし」が非常に重要な儀式とされており、告別式以上に優先されることもあります。
以下で紹介する流れは、あくまでも一般的なものあり、葬儀の規模・地域・教会によって変わることもありますので注意してください。
【通夜の流れ】
天理教の通夜は、神様に体を返す儀式です。そして、体を返した後に新しい体が見つかるまで神様に魂を預けるみたまうつしが通夜にあたる儀式となります。
参列者着席
まずは、式に参列する人が斎場に入場し、着席します。
斎主・斎員(斎主の助手)入場
参列者に続いて、式を進行する斎主とその助手である斎員が斎場に入場します。
祓詞奏上(はらえことばそうじょう)
祓詞とは神事の際に唱えられるお祓いの言葉のことです。この祓詞奏上が行われます。
「みたまうつし」の儀 うつしの詞奏上
故人の体から魂を移す「みたまうつし」が行われます。その際、最初に「うつしの詞」が奏上されます。
献饌(けんせん)
献饌は、米や塩など神様に供え物をすることです。仏式の葬儀では行われません。
斎主の玉串奉献(たまぐしほうてん)
仏式で焼香にあたる儀式が玉串奉献です。ここでは、斎主による玉串奉献が行われます。
斎主によるしずめの詞奏上と列拝
斎員列拝
斎主の助手である斎員が列拝を行います。この時、葬儀関係者は礼をします。
喪主、遺族、親族、一般参列者による玉串奉献および列拝
斎主に続いて喪主、遺族、一般参列者の順番で、玉串奉献と列拝を行います。
撤饌(てっせん)
撤饌は、献饌を下げることです。時間によっては省略されることもあります。
斎主・斎員退場
斎主と斎員が退場し、その後参列者が退場します。
【告別式の流れ】
ここでは、天理教の告別式の流れを解説します。
参列者着席
まず、式の参列者が斎場に入場し、着席します。
斎主・斎員(斎主の助手)入場
参列者に続いて斎主と斎員が斎場に入場します。
献饌(けんせん)
通夜の時と同じように神様に供物を捧げる献饌を行います。
斎主によるしのびの詞奏上
斎主の玉串奉献(たまぐしほうてん)
斎主の告別詞奏上
告別詞とは、宗教的な言葉であり、告別式の際に奏上されます。ここでは斎主によって告別詞が奏上されます。
斎員列拝
喪主、遺族、親族、一般参列者による玉串奉献および列拝
喪主、遺族、一般参列者の順番で玉串奉献と列拝が行われます。
撤饌(てっせん)
神様への供物を下げる撤饌が行われます。
斎主・斎員(斎主の助手)退場
閉会
天理教の葬儀に参列する際のマナーや注意点
ここでは、天理教の葬儀に参列する際に覚えておきたいマナーや注意点について解説します。
玉串奉献と参拝の方法
玉串奉献は、玉串を祭壇に捧げることで、基本的なやり方は神道と同じです。最初に両手で玉串を受け取ります。この時、右手の手のひらは下側に、左手の手のひらは上側に向けて受け取ってください。その後祭壇の前まで移動します。移動する際は、玉串の葉先が左手側に、根元が右側に来るように持つようにしてください。
祭壇の前に来たら、枝側が祭壇に向く形にして玉串台に献じます。置くときは静かに置くようにしましょう。
参拝に関しては、天理教の場合「二礼四拍手一拝四拍手一礼」がマナーとなります。具体的には以下の流れて行ってください。
・祭壇の前で礼を2回する
・柏手をひかえめな音で4回する
・一拝する
・柏手をひかえめな音で4回する
・一礼をする
一般的な葬儀だと、「しのび手」と呼ばれるように拍手の際に音を立てることはしませんが、天理教の場合はしのび手をしなくても問題ありません。
天理教の香典のマナー
天理教においても一般の葬儀同様、香典を用意する必要があります。ただし、いくつかの点で違いがありますので注意が必要です。例えば、天理教の場合、蓮の花が書かれた香典袋は使用しません。これは蓮の花は仏教の考え方に基づいたものだからです。
また、表書きは神道に準じる形で「御玉串料」「御榊料」「御霊前」とするのが一般的です。仏式のように「御霊前」としても問題ありませんが、「御仏前」はマナー違反となりますので使用しないようにしましょう。また、天理教の葬儀では焼香は行わないため、「ご香典」という表現も使いません。
水引については、地域による違いもありますが、黄と白、黒と白、もしくは銀色のものを使用するのが一般的です。形はもちろん結び切りです。これは宗教による違いはありません。包むのは市販の香典袋や封筒を使用して問題ありません。また金額は仏式の香典と変わりません。
香典返しは「偲草」(しのびぐさ)という表記
神式やキリスト教式、天理教式の香典返しでは「偲草(偲び草)」という表記が用いられています。
お悔やみの言葉を使わない
天理教の葬儀における重要な注意点として挙げられるのが、お悔やみの言葉を使わないことです。天理教では死を出直しと考えているため「亡くなる」「命日」といった言葉も使用しません。ちなみに命日は「出直し当日」と言います。このような考えがあるため、葬儀の際も「御冥福をお祈りします」や「御供養」、「成仏」といった言葉は使われません。
仏教での戒名、神式での諡(おくりな)にあたる呼び名は
仏教の戒名や神式の諡にあたる呼び名は、天理教にも存在します。男性の場合「大人(うし)」という呼び名がつけられ、女性の場合「刀自(とじ)」という呼び名が名前の後につけられます。なお、神式のような「命(みこと)」という名はつきません。
数珠は不要
仏式の葬儀では欠かせない数珠ですが、天理教の葬儀では必要ありません。数珠は仏教の宗教用具であり、天理教には数珠の概念が存在しないためです。
服装は一般的な喪服で問題無い
服装に関しては、一般的な葬儀に参列するのと同じ喪服で問題ありません。男性であれば黒の喪服に白シャツ、黒いネクタイ、黒い靴下を着用します。女性であれば黒のアンサンブルやスーツに黒のストッキングとパンプスといったスタイルです。
【参考】天理教の葬儀を行う場合には
ここでは、天理教の葬儀を行う際の手配について解説します。
天理教の葬儀を行う場合の各種手配
一般的な葬儀と天理教の葬儀では、同じ部分と異なる部分もあるため、手配の際にも注意が必要です。まずご遺体の搬送に関しては仏教と変わりません。そのため、病院で亡くなった場合は葬儀社に連絡して寝台車で運んでもいます。なお、葬儀社の担当者の方には天理教信者であることは伝えておきましょう。
葬儀に関しては、お坊さんではなく祭官や楽人を依頼する必要があるため、通常の準備より時間がかかることもある点に注意してください。天理教の葬儀の場合、教会の人間に相談して、さまざまなことを取り決めていくことになります。
葬儀社に相談する
天理教信者の方の葬儀を行う場合は、天理教の葬儀の実績のある葬儀社に相談、依頼するのがおすすめです。相談する前に実績や経験などについてチェックしておきましょう。
まとめ
天理教の葬儀は、神道と近い部分がありますが完全には同じではありません。また、仏教徒も異なるため、使用する言葉や用具などには注意が必要です。また、葬儀を行う側になった場合は、天理教の葬儀を扱った経験のある葬儀社を利用する方が、より安心できるでしょう。
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