家の相続でやるべきこととは?流れやかかる費用、トラブル回避の注意点を解説
終活・準備,葬儀後家の相続は、人生に何度も起こることではないため、発生すると多くの人が不安を抱きます。知識がない状態で相続手続きを進めると、トラブルにつながるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。この記事では、家を相続する人に向けて、相続税を算出する方法や、節税のためにできることなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
家の相続が発生したらやるべきこと
家の相続が発生したら、主に4つの手続きが求められます。ここでは、家の相続の手順について解説します。
1.遺言書・遺産・法定相続人を確認する
遺言書の有無によって手続きが異なるため、遺言書の存在について確認します。それと同時に、全遺産をもれなく洗い出しましょう。主な遺産として現金、預貯金、家や土地などがありますが、借金や負債なども遺産に含まれます。後から発覚すると、手続きのやり直しが必要になる場合があるため、注意が必要です。
また、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を集め、法定相続人を確定する必要もあります。法定相続人とは、民法で決められた相続人を指します。
2.遺産分割協議を行う
遺言書があれば、遺言に基づいて遺産分割を行います。遺言書がない場合は、遺産分割協議が必要です。遺産分割協議とは、法定相続人全員で、誰がどの遺産を相続するのかを決める話し合いです。遺産分割協議の結果は、遺産分割協議書に明記します。各自が取得する遺産を記載し、全員が署名・捺印をすることで、事後のトラブルを防ぎます。
3.家の名義変更(相続登記)をする
家や土地の所有者が亡くなった場合、相続登記が必要です。相続登記とは、新しく相続した人が、自分の名義へと登記を変更することです。手続きに期限はありませんが、手続きをしないと、家を売却できなくなるなどのデメリットが生じます。さらに何世代も相続登記をしていない場合、相続人が増えて複雑化します。相続が発生したら、速やかに相続登記を行いましょう。
4.相続税の申告・納税をする
算出した遺産総額が基礎控除を上回る場合は、相続税の申告をしなければなりません。相続税は、家そのものではなく、遺産総額に発生する点に注意しましょう。基礎控除よりも遺産総額が少なければ相続税はかからず、申告や納税の必要はありません。相続税申告の期限は、被相続人が亡くなった翌日から10か月、相続放棄する場合の期限は3か月です。
家の相続でかかる費用
家の相続でかかる費用はさまざまですが、相続人全員にかかる費用は名義変更、書類の発行料です。
場合によってかかる費用は不動産所得税、固定資産税があげられます。相続税については、かからない場合があります。ここでは、家の相続で相続人全員にかかる費用について解説します。
登録免許税
登録免許税とは、相続登記で必要な税金です。登録免許税は、「登録免許税=固定資産税評価証明書に記載された家の評価額×0.4%」で算出します。固定資産税評価証明書は、市役所で申請して取得するほか、毎年4月に送付される「固定資産税納税通知書」で代用する方法もあります。
書類の発行料
家の相続に必要な主な書類は、以下の8つです。
・被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書
・不動産の登記事項証明書
・不動産を相続する相続人の住民票
・不動産の固定資産評価証明書
すべて取得する場合は、2,000〜3,000円ほどの費用が必要です。相続する家の数が多い、遠方で郵送を利用するといったケースでは高額になる可能性もあります。専門家に依頼する場合の相場は、5〜15万円ほどです。
そのほかの費用
家の相続方法によっては不動産取得税が、家を相続した場合は固定資産税がかかります。ここではそのほかにかかる可能性がある費用について解説します。
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を購入した際にかかる税金のことです。基本的には、家の相続ではかかりません。しかし、贈与で家を取得した場合や、遺言書で法定相続人以外が家を相続した場合などには課税対象となります。
固定資産税
固定資産税とは、土地や家などにかかる地方税です。家を相続すると、市町村に毎年納税しなければなりません。相続した家に住まない場合は、「特定空き家」に注意が必要です。認定されると、固定資産税が最大で通常の6倍になります。
相続税がかかるかを判断する計算方法
相続税は、どんな場合でもかかるわけではありません。基礎控除を計算することで、家の相続に相続税がかかるか、かからないかがわかります。
基礎控除を計算する
基礎控除とは、一律で差し引ける所得控除の1つです。基礎控除の計算式は、「相続税の基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」です。4人で相続する場合は、以下のように遺産総額5,400万円以下であれば、相続税がかかりません。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(4人×600万円)=5,4000万円
相続税を計算する
課税対象金額は「遺産総額-基礎控除額」で求められ、基礎控除が遺産総額よりも大きければ、相続税はかかりません。課税対象となる場合は、以下の手順で相続税を計算します。
1.課税遺産総額を法定相続分で割る
2.各人の「法定相続分×税率-控除額=算出税額」を求める
3.算出税額を合計する
4.算出税額の合計額を法定相続分通り分配する
家を相続せず相続放棄した方がよいケース
相続放棄とは、相続を拒否できる制度です。遺産に借金や負債が多い場合は、相続放棄によって損をせずにすみます。被相続人が亡くなってから、3か月以内に家庭裁判所への手続きが必要です。ここでは、相続放棄した方がよいケースについて解説します。
借金の方が多い場合
家の相続よりも、借金や負債の方が多い場合は、相続放棄を行うほうがよいでしょう。相続放棄は相続権そのものを放棄するため、特定の財産だけの相続はできません。家や不動産、預貯金、有価証券などのプラスの遺産も放棄する点には注意が必要です。
生命保険を受け取った方が得になる場合
生命保険は受取人の固有財産となり、相続放棄の影響を受けません。以下の例の場合、家・負債・生命保険を相続すると、手元に残る金額は0円です。
家2,000万円-負債5,000万円+生命保険3,000万円=0円
しかし相続放棄をすれば、生命保険金が受け取れて、3,000万円プラスになります。
節税のためにできること:家の売却
家の相続の節税をするために、売却することも有効です。ここでは、家の売却のメリットを解説します。
将来かかる維持費を削減できる
家を相続すると、家の維持管理費だけではなく、毎年の固定資産税、都市計画税を納め続けなければなりません。しかし、売却することで維持管理費や税金を支払う必要がなくなり、将来的なコストを削減できます。
売却して資金化できる
相続した家を売却すれば、資金化できます。その現金を均等に分配して、相続することも可能です。家を誰が相続するか決まらない場合に有効な手段ですが、家を手放さなければいけないデメリットもあります。
家の相続で起こりやすいトラブル
家の相続はスムーズに進むケースもあれば、トラブルが起こるケースもあります。ここでは、起こりがちなトラブルについて解説します。
遺産の分割で親族の関係がこじれる
家の相続は等分に分割するのが難しく、分割や配分で揉めることも少なくありません。全員が一緒に住むわけにはいかないため、取り分を巡って仲のよかった兄弟間がこじれるケースがあります。また実家に住んでいる兄弟の1人が増額を要求したり、家の売却の賛否によって関係性が悪化したりするトラブルがあげられます。
家の所有により負担が増える
遺産相続をすると、相続税と、毎年の固定資産税を支払わなければなりません。高額な遺産は相続税が高くなるだけではなく、固定資産税も高くなります。固定資産税は、管理費とともに毎年必要になるため、相続した人の負担になりかねません。誰が家を相続するかによって将来の負担額に差が生じ、トラブルに発展するリスクがあります。
スムーズに家を相続するために注意したいポイント
家の相続でトラブルを回避するための注意点と対策方法について解説します。
共有相続を避ける
共有相続とは、1つの家を兄弟など複数人で共有する方法です。全員の意見が一致しないと、土地活用や売却ができず、トラブルの元になるリスクが高くなります。家は法定相続人のうち、1人が相続するようにしましょう。その代わりとして、ほかの法定相続人に預貯金などを多く相続してもらったり、家を相続した人が代償金を支払ったりすることで、共有相続を避けられます。
親が元気なうちに分割を決める
認知症と診断された人については、自分の考えを伝えたり、状況を判断したりする意思能力がないとして、法律行為が無効になります。親が認知症を発症すると、家の売買や生前贈与など、手続きが認められなくなるため、相続対策が進められません。親が元気なうちに、誰がどの遺産を相続するのかといった事前の話し合いや準備を進めておきましょう。
生前贈与は贈与税に注意する
生前贈与とは、生きているうちに財産を振り分けることです。生前贈与をすれば、遺産の総額が減るため、相続税の節約につながります。配偶者・子どもだけでなく、一代下の孫に相続できるというメリットもあります。ただし、生前贈与には贈与税が発生します。贈与税の税率は、相続税より高いため、贈与税の非課税枠などの特例を利用して賢く行いましょう。
リースバックを活用する
リースバックとは、家を売却して資金化し、売却後に賃貸として暮らせるサービスです。売却で資金化できるため、複数人での遺産分割がスムーズになります。家を手放す必要がないため、家に住み続けたい人に最適です。毎年かかる固定資産税などの税金や修繕費は、新しい所有者が負担することになるため、建物を維持するためのコスト軽減が期待できます。
まとめ
家の相続が発生したら、遺言書の確認、遺産分割協議の実施、相続登記、相続税の申告・納税を行う必要があります。家の相続でかかる費用は、相続した遺産総額によって異なります。トラブルなくスムーズに家を相続するために、事前に準備を進めておきましょう。
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