葬儀に参列する際は、故人の霊前に香典を供えるのが一般的です。しかし、祖父母の葬式の場合には、孫が香典を持参する必要はあるのでしょうか。

この記事では、孫の立場での香典について詳しく紹介します。参列できない場合の対処法や、金額の目安なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

香典とは

香典とは、線香・供花・抹香の代替として、故人の霊前にお供えする現金のことです。「香」はお香、「典」は故人の霊前にお供えするという意味を持ちます。一般的には通夜の時に「不祝儀袋」と呼ばれる香典袋に現金を包んで渡します。通夜に間に合わない場合は、葬式や告別式で渡しても問題ありません。

不祝儀袋はスーパーやコンビニなどの小売店で購入できます。表面に「御霊前」や「御香典」などと書かれた紙製の袋です。

祖父母の葬式では孫も香典を出すべきか

孫が出す香典については、祖父母と同居しているか別居しているかで異なります。同居している場合は孫も葬式を出す側のため不要ですが、別居している場合は必要です。

ただし同居していても配偶者がいる場合は、夫婦で1世帯としてあつかわれるため、別途香典を用意する必要があります。

香典は不要のケース

香典は1世帯1つが原則です。そのため親に扶養されている学生や未成年などは、香典を用意する必要はありません。経済的に自立している場合は、家族と相談して香典を包むか決めましょう。

なお、経済的に自立していても、未成年であれば香典は必要ないという考え方もあります。働いておらず、現金を用意できない場合は基本的に必要ありません。

家族葬でも孫は香典を出すべきか

家族葬とは、家族や親しい友人知人のみで開催される葬儀です。そのため香典を出すかどうか迷うこともありますが、基本的には家族葬であっても孫は香典を出した方がよいでしょう。

ただし、事前に他の親族から「香典は遠慮する」と言われるケースもあります。家族葬の香典は、親族と相談してから決めるのをおすすめします。

葬式に参列しない場合

基本的に孫は祖父母の葬式に参列します。しかし、葬儀会場が遠方にあるなどの理由で葬儀に参列できないこともあります。その際の香典は、親や兄弟など信頼できる人に預けるとよいでしょう。

また、現金書留などで郵送することも可能です。郵送は葬儀の1週間以内に喪主の自宅へ送るのが無難とされています。

供花や供物を「孫一同」で送る場合

実際の葬儀では、「孫一同」として供花や供物を送るケースも少なくありません。「葬儀会社」が供花を手配したり、「斎場」が手配したりと、やり方もさまざまです。また、宗教によって花の種類も異なります。

供花や供物を送る際は、孫だけで判断せず、事前に喪主と相談することが大切です。喪主が料金を立て替える場合は、通夜・葬式・告別式などで代金を手渡しましょう。

孫からの弔電や弔辞について

やむを得ない事情によって、祖父母の葬式に参列できない時もあるでしょう。その場合は参列の代わりとして、弔電や弔辞を送ることも可能です。弔電や弔辞を送ることで、応急的にですが弔意を伝えることができます。後日あらためて弔問すれば、失礼にはあたりません。

祖父母の葬式での香典の目安

祖父母の葬式での香典額は、年齢ごとに目安があります。以下が一般的な相場となります。

・20代：1万円
・30代：1万～3万円
・40代以上：3万円～

30代や40代は金額に幅がありますが、祖父母との関係性や社会的立場などを考慮して決めましょう。経済的に負担が大きいなら1万円でも問題ありません。

また、孫夫婦として渡す場合は相場に＋1万円を目安にするのが一般的です。4万円や9万円は「死」や「苦」を連想させるため控えましょう。

孫一同での供花の金額の目安

供花は生花で作られており、「1基」「2基」と数えます。1基あたりの相場は8000円～1万5000円です。地域や慣習によっては花環を贈ることもあり、その場合は1基1万円程度が相場です。

かつては2基で1対でしたが、現在では会場のスペースなどの関係から、1基だけ送るケースも増えています。いずれの場合も喪主と相談して数を決めるようにしましょう。喪主に相談せずに進めると、当日になって「置き場所が足りなくなる」などのトラブルが発生する場合があります。

祖父母の葬式で会社を休んでもいいのか

3親等以内の親族の葬式には、「忌引き」が適用されるのが一般的です。祖父母は2親等の親族なので、孫が祖父母のために会社を休むのは問題ありません。祖父母との関係にもよりますが、親族の葬式は基本的に参列することをおすすめします。

会社の就業規則を確認すること

「忌引き」は法律に明記されている制度ではありません。そのため、会社によっては「忌引き」を理由にできないケースもあります。その場合の休暇は、有給休暇として処理されるでしょう。

自社が忌引き制度を設けているかは、会社の就業規則で確認しましょう。中には「慶弔休暇」や「特別休暇」を設けている会社もあります。

香典を渡す際のマナー

香典を渡す時は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、香典袋の書き方から受付での渡し方までを解説します。

香典袋の書き方

香典袋には外側の封筒の中にうち袋がついています。まずは表面とうち袋の書き方から見ていきましょう。

表書きの書き方

香典袋の表書きとは、外側の封筒に書いてある「御霊前」「御仏前」などのことです。葬儀が行われる宗教により、書く言葉が変わります。仏教なら、「御香典」「御香料」「御香資」「御仏前」、キリスト教なら「御霊前」「御花料」となります。

キリスト教の中でもカトリックなら「御霊前」「御ミサ料」などが該当します。どの宗教かわからない場合は、どの宗派でも使える「御霊前」を用意しましょう。

うち袋の書き方

うち袋には、香典に入れた金額を記入します。「壱」「弐」「参」のように、漢字で表記するようにしましょう。たとえば3万円なら、「金参萬圓」と書きます。3千円なら、「金参仟圓」です。「金参萬圓也」と書いてある場合もありますが、「也」はあってもなくても問題ありません。

香典に使うお札

香典に使うお札にも、色々なマナーがあります。お札は香典袋の表に対して裏向きに入れます。香典袋からお札を出した時に、人物の顔が見えないように入れるのがポイントです。お札とお札の向きを揃えることも大切です。

また香典には新札が使えません。これは慣習によるもので、ATMがなかった時代に新札を用意するのは事前準備が必要でした。そのため香典に新札を使うことは、「死を予期していた」とみなされ、不謹慎とみなされます。

袱紗（ふくさ）につつんで持参する

香典袋をそのままの状態で運ぶと、外側の紙が傷んでしまいます。香典は袱紗に包んでからカバンやバッグへ入れましょう。袱紗は葬儀の場に合った黒やグレーなど、地味な色のものがおすすめです。最近はポケット型の袱紗も販売されています。

袱紗の包み方は以下の通りです。

1.袱紗をつめが左側になるようにひし形に置く
2.香典袋を表面を上にして真ん中より右寄りに置く
3.袱紗を右、下、上、左の順に折る
4.右にはみ出した部分を内側に折る

受付での香典の渡し方

香典は葬儀会場の受付で渡します。喪主や家族に直接渡さないように注意しましょう。ただし葬儀会場が自宅の場合は、喪主に渡しても問題ありません。

渡す際には右手に袱紗を持ち、左手で香典を取り出します。香典の表書きが相手側から見て正面になるようにしましょう。

渡すタイミングは、通夜の焼香前というのが一般的です。通夜に間に合わない時は、葬式や告別式の焼香前に預けましょう。渡す時には「御霊前にお供えください」と一言つけ加えます。

まとめ

葬式の香典は、祖父母と同居している場合は必要ありません。別居している場合は、年齢や社会的立場などを考慮して、相応の金額を包みます。大切な人との別れの時には、粗相のないよう最後までマナーよくありたいものです。また、自分が喪主でどのように対応すべきか迷ったら、親族間だけでなく親身に相談に乗ってくれる葬儀会社に相談するのもおすすめです。

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